
東京都の里親制度の課題
家族と一緒に食卓を囲み、安心して眠る。
そんな日常が、当たり前ではない子どもたちがいます。親の病気や虐待、経済的な事情などにより、家庭で暮らすことができない子どもたちは、今も少なくありません。
そうした子どもたちを家庭に迎え入れ、育てる仕組みが「里親制度」です。血のつながりがなくても、家庭のあたたかさの中で成長できる環境を提供する、大切な制度です。しかし、現実にはいくつかの課題もあります。
里親家庭の不足
ひとつ目の課題は、里親家庭の数が十分ではないことです。国は「できるだけ家庭で育てる」ことを基本方針としていますが、東京都では、実際には多くの子どもが施設での生活を余儀なくされています。
子どもにとって、人とのつながりを実感できる家庭的な環境は、心の安定や成長に大きく影響します。里親家庭を増やしていくことは、今まさに求められている重要な課題です。
里親さんへのサポート体制の充実

ふたつ目は、里親さんへのサポート体制です。里親家庭で暮らす子どもたちの中には、これまでの経験から心に傷を抱えている子もいます。そうした子どもと向き合うには、専門的な知識や継続的な支援が必要となる場面も少なくありません。そうした子どもたちの育ちを支えていくためには、里親さんが一人で抱え込まず、必要なときに相談できる環境が大切です。
里親さんが安心して子どもと向き合い、日々の生活を重ねていけるよう、行政や関係機関が連携し、継続的に支えていく体制づくりが欠かせません。
社会の理解

そしてもうひとつ重要なのが、社会全体の理解です。里親制度は、まだ十分に知られているとは言えず、「他人の子どもを育てるのは大変そう」というイメージだけが先行してしまうこともあります。
また、制度を進めるうえでは、実親(保護者)の理解も欠かせません。制度について十分に知られていない場合、「子どもを取られてしまうのではないか」「もう二度と会えなくなるのではないか」といった誤解や不安から、里親への同意が得られず、制度の活用が進まないこともあります。
社会全体で制度への理解が広がり、「自分にも何かできるかもしれない」と思える人が増えていくことが、子どもたちの未来を広げていきます。
子どもは誰もが、あたたかい家庭の中で育つ権利を持っています。
その「当たり前」を支えるために、私たち一人ひとりができることがきっとあるはずです。まずは「里親制度とはどんなものだろう」と、関心を持つことから始めてみませんか。
私たちフォスタリング機関は、どのようにサポートしているのか
フォスタリング機関は、里親制度を支える専門機関として、里親家庭と子どもを継続的にサポートしています。東京都では各児童相談所に設置され、里親家庭の募集・登録から、子どもとのマッチング、里親家庭での生活が始まってからの相談支援、子どもの自立に向けた支援までを一貫して行っています。
里親家庭の不足という課題に対しては、里親制度の普及啓発や説明会などを通じて、制度を知ってもらう取り組みを行っています。また、里親家庭の募集だけでなく、保護者への理解促進も含め、社会全体に里親制度を伝えていく役割も担っています。
さらに、子どもが里親家庭で生活を始めた後は、行政機関や関係施設と連携し、「チーム養育体制」のもとで里親さんを支えます。日々の養育を担う里親さんが、安心して子どもと向き合えるよう、相談や調整を行うことも重要な支援のひとつです。
