
「親のもとで暮らせない子どもに、家庭のあたたかさを届けたい」
そんな思いから始まったのが、里親制度です。
里親さんの存在は、たくさんの子どもたちにとって、大きな希望です。
けれど実際には、「思っていたよりも大変だった」と感じる里親さんもいます。
制度をもっとよくするために、そして子どもたちのためにも、
今回は、里親制度の中で「知っておいてほしい大切な一面」について、少しだけお話ししてみたいと思います。
心のケアには、時間と根気が必要です
里親家庭で暮らす子どもたちは、さまざまな事情をかかえています。
実の親から離れて暮らすことになった理由は、虐待や育児放棄、経済的な困難など、簡単には語れないものばかりです。
そのため、最初はなかなか心を開いてくれなかったり、感情が大きくゆれ動いたりすることもあります。
「どうしてそんなことをするの?」と思ってしまうような行動にも、実は心のSOSが隠れているのです。
里親さんは、そうした子どもの気持ちに寄り添い、あたたかく見守る力が求められます。
簡単なことではありませんが、少しずつ信頼関係が築かれていく過程には、かけがえのない喜びもあります。
まだ、社会全体が十分に理解しているとは言えません

里親制度をめぐる仕組みは、ここ数年でずいぶんと整ってきました。
児童相談所やフォスタリング機関のスタッフも、子どもたちにとってよりよい養育環境を実現できるよう、里親家庭への支援や環境整備に取り組んでいます。
それでもなお、里親さんが「自分たちは理解されていない」「周囲に話しづらい」と感じてしまうことがあります。
それは、制度の問題だけではなく、社会全体としての理解や関心が、まだ十分に広がっていないからかもしれません。
たとえば、里親という言葉は知っていても、どんな思いで子どもを育てているのかまでは、想像しづらいのではないでしょうか。
里親制度に対する誤解や固定的なイメージから、里親さんが肩身の狭い思いをしたり、孤独を感じたりすることもあるのです。
本当に必要なのは、制度や支援だけでなく、社会全体が「里親家庭も当たり前の一つの家族」として自然に受けとめられること。
そうしたやさしいまなざしが広がっていくことで、里親さんも、子どもたちも、もっと安心して暮らしていけるはずです。
実の親との関係に悩むことも
子どもによっては、実の親との関係が続いている場合もあります。
もちろん、これは子どもの権利としてとても大切なこと。
でも、里親としては「この子にとって何が一番良いのか」と、悩むことも多いのです。
「せっかく心を開いてくれたのに、実親との面会のあとにまた心が閉じてしまった」
そんな声も少なくありません。
子どもにとって「ふたつの家族」の間でゆれる気持ちに、丁寧に向き合う必要があります
だからこそ、もっと知ってほしい

里親制度には、こうした大変な面もあることを知っていただけたでしょうか?
でもそれは、制度がダメだという意味ではありません。
今、たくさんの里親さんたちが、子どもたちと一緒に、笑ったり泣いたりしながら歩んでいます。
その日々は決して楽なものではありませんが、とても尊いものです。
わたしたち一人ひとりが、制度のことを正しく知り、関心を持つこと。
それが、子どもたちの未来を明るくする第一歩になるのではないでしょうか。
